あなたのクラスは、朝に宿題が全員分揃いますか?
授業後に集めたノート、全員提出できますか?
毎回同じ子に、「出しなさい!」と催促の声かけをしていませんか?
そして、毎日イライラしていませんか。
「これが1年間続くなんて耐えられない!」
今回は、そんなあなたの苦しい毎日から脱出するサポートします!
✅本授業の内容
2時間目:指導ではなく仕組みで解決
今回は、以上の内容で授業を行います。
・小学校教諭として11年間勤務
・専門分野:学級経営
・学級経営学会所属
・提出物が出ない子問題→毎年仕組みで解決→ノンストレスな毎日
1時間目:困難は分割せよ
「提出物が毎回全員揃わない!!」
これは、みなさん一度は経験したことがある問題でしょう。
今回はこの問題を解決するために、まず
「困難は分割せよ」
という数学者デカルトの考え方をおすすめします。
なぜなら、「解決できない!」と感じる問題の多くには、細かい様々な問題が混在していることが多いからです。
これらの細かい問題を切り分けて1つずつ対処することで、解決の糸口が見えてきます。
私が担任したクラスの、ADHD傾向があり、整理整頓が苦手で、宿題が毎回出ないサトルくん(仮名)を例に見ていきましょう。
宿題は朝に提出することにしていたので、サトルくんの朝学校でやるべきことに目を向けてみます。
一口に宿題を出す、といってもそこまでには様々な工程があります。
まずはその工程を分解して捉え、サトルくんがどこでつまずいているのかを見極めます。
私の前任校では朝教室に入ると、以下の流れで子どもたちは動いていました。
2、名札をつける
3、自分の席に行く
4、ランリュックを整理する
5、水筒を整理する
6、宿題を提出する
朝の行動を分解してみると、宿題を提出するまでに、サトルくんは5つの工程を行わなくてはなりません。
その上でよくサトルくんを見ていると、4のランリュックの整理でつまずいていることに気づきました。
元々整理整頓が苦手で、時間割もしていないので、毎日全教科の教科書が入っています。
また、配布したプリントはぐちゃぐちゃの状態で、ランリュックに入ったままになっています。
つまり、宿題どころか、今日使う教科書、ノートもまともに取り出せていない状態です。
適当に何冊かの教科書とノート、筆箱を取り出して、机の引き出しに突っ込んで終了。
宿題が机の中にあるのか、ランリュックに入ったままなのかはもちろん把握していません。
出すべき宿題がどこにあるかがわかっていないので、提出しようがないのです。
つまり、サトルくんが宿題を出せない原因は、宿題を出す前のランリュックの整理、にあったのです。
そこで、宿題が提出できない、という“困難”を
ランリュックの整理整頓
宿題の提出
という2つに分けて、それぞれに対処していきます。
2時間目:指導ではなく仕組みで解決
対処するべき“困難”がはっきりしたら、次は、「仕組み」で解決します。
多くの場合、
「サトルくん、宿題出てないよ!出しなさい!」
といった指導を、先生が毎日繰り返すことになっていると思います。
でも、指導されて改善できるレベルなら、今の状況にはないでしょう。
つまり、何度言っても改善されない場合は、サトルくんではなく、学級の仕組みに問題があるのです。
少なくとも、サトルくんの実態には合っていない仕組みとなっています。
そこで、サトルくんも含めたクラス全員が、朝宿題を全員提出できる「仕組み」について考えていきます。
その前に、ランリュック整理整頓問題を解決しておきましょう。
朝の整理整頓を習慣化
私は、サトルくん専用の大きなカゴを準備しておき、朝来たらまずはランリュックの中身を全部そこに出せばいいようにしていました。
初めは、サポートが必要です。
手伝いながら、一緒に仕分けをしていきます。
まずは、
・今日必要な教科書とノート
・必要ない教科書ノート
・ぐちゃぐちゃのプリント
・その他(筆記用具など)
に仕分けます。
サトルくんはこの時、床中に物を広げることになっていましたが、周りの子たちにもサトルくんが頑張っていることを共有し、見守ってもらうようにしていました。
仕分けができたら、必要な教科書とノートは机の中へ。
必要のない教科書類はランリュックへ。
ぐちゃぐちゃのプリントも連絡袋(なければ封筒)に入れて、ランリュックへ。
そして、宿題を提出します。
そして、サトルくんの場合、保護者との連携も不可欠です。
できれば、学校と同じように、家でもカゴを用意してもらい、保護者に渡すプリント整理や、次の日の時間割も一緒にやってもらえればベストです。
でも、サトルくんの保護者はあまり協力的ではありませんでした。
そのような場合、保護者と定期的に交流することも続けながら、サトルくんと学校でできることに意識を集中して取り組みます。
サトルくんがこれを一人でできるようになるには、約2か月かかりました。
でも、これが1年続くことを思えば大したことはありません。
手伝ってくれる友だちもちらほら出てきて、サトルくんとクラスの子との関係も深まるというおまけもついてきました。
こうして、朝の整理整頓が定着していきました。
そして気づけば、宿題の提出もできることが増えてきました。
困難を分割してみたことから、宿題が毎朝出ない、という課題の原因は朝の整理整頓ができないことだったことがわかりました。
ただ、その後も完璧に宿題が出せていたかというとそう簡単にはいきません。
せっかく整理整頓できたのに、宿題が出せていない日もちらほらありました。
ましてや、他の課題も提出できないことはもしばしば。
そこで、クラスの仕組みを整えます。
全員が提出できる仕組みづくり
全員の提出物が揃う仕組みの1つの例として、「子どもの力を借りる」ということをおすすめします。
私のクラスでは、班長の仕事の1つに、「提出物を回収して提出する」、というものがありました。
これは朝の宿題や、授業のノート、その他の課題などあらゆる提出物に応用可能です。
先程のサトルくんに対しても、整理整頓まである程度自分でできるようになっていれば、後の宿題提出は班長にまとめてやってもらう、というのも1つの方法です。
班長が自分の班の子に声をかけて提出してくれるので、私一人がチェックするより遥かに抜け落ちが少なくなるからです。
また、この方法には他にもメリットがあります。
それは提出物が出ていない子がいたときは班長に声をかければいい、という点です。
私が一人で回収、チェックしていると、出ていない子に毎回私が声をかけることになります。
提出物が出ない子というのは、大体固定されていますので、毎日同じ子に、小言を言わなくてはなりません。
これが毎日続くとなると、先生にとっても、その子にとって、かなりのストレスです。
その声かけを子どもに任せることで、不必要な摩擦を生まず、提出物を回収することが可能です。
また、全員の提出が揃うことが増えるため、提出物を出すのが苦手な子、声かけをしてくれた班長、そしてクラス全体に「素晴らしいね」とプラスの声かけをすることができます。
確かに、そんなことしたらサトルくんはいつまでたっても自分で宿題を出せるようにならない!という意見もあるでしょう。
しかし、学級経営という枠組みで考えた時に、大切なのはサトルくんにとっていかに教室を居心地の良い場所にしてあげることです。
何年も改善されてこなかった苦手な「提出物」に関する指導を繰り返されて、自信を失うことの方がサトルくんにとってはマイナスです。
先生の精神的な負担も減り、クラスみんなへプラスの言葉をかけられる。
これは仕組みを変えたからこそ生まれる変化です。
ぜひ、先生一人で管理しようと思わず、子どもたちの力を借りる仕組みを取り入れてみてください。
劇的に先生も楽になり、子どもたちも生活しやすくなりますよ。
本授業を最後までご覧いただき、本当にありがとうございます!!
担任をしていると、毎年ぶつかる「提出物問題」。
大切なのは、「困難を分割する」こと。
そして、1つ1つの困難に対して、トライアンドエラーを繰り返しながら、効果的な方法を模索することが大切です。
正しい知識と考え方を身につけた上で、どんどん行動、どんどん実践していきましょう。
そして、それを共に継続していきましょう!!
学ぶ意欲の高いあなた、そしてあなたの目の前の子どもたちが、笑顔で溢れる毎日を送れることを心から願っております。
1人では辛くなることも多いでしょう。
そんな時はまたここに帰ってきてください。
いつでも相談に乗りますよ。
先生自身、そしてクラスの子どもたちが、笑顔で毎日を送れることを願って。
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