・学級経営がうまくいっていないけどどうしたらいいかわからないなぁ ・もっと学級経営を深く学びたいけどどうしたらいいのだろう
今回はこのような先生の疑問にお答えします。
✅本記事の内容
1、今の時代、学級経営を「本」で学ぶのが有効な理由 2、学級経営だけを学んでいてもうまくはいかない 3、うまくいっていない時こそ「本」から学ぶべき 4、学級経営を学ぶ上で筆者おすすめ本10選
✅筆者の経験
・11年間学級担任として全力で学級経営 ・年間読書数60冊(月5冊)以上 ・食事が喉を通らないほど学級経営に悩んだ時期もあるが、試行錯誤して乗り越えてきた ・不登校0人 ・前年度不登校、不登校傾向だった子の復帰率100%
こんな私が、解説していきます。
今の時代、学級経営を「本」で学ぶのが有効な理由
今の時代、学級経営を本格的に学ぼうと思われるのであれば、「本」で学ぶのが最適解だと考えます。
あなたの職場に、学級経営についてあなたに合うアドバイスができる教師はほとんどいないからです。
これには様々な要因が挙げられます。
例えば、ベテラン教師の経験が今の時代の学級経営に、役立つとは限らない。これは、ベテランでも学級経営に苦労している現状からみても承知の通りでしょう。大きく時代が変わろうとしている今、求められているのは経験ではありません。子どもたちと共に学び続け、子どもたちと共に変化に対応しながら学級を創り上げていくことだからです。何より、クラスに問題が起きた時に多くの場合相談する、管理職の先生たちも、学級経営のプロとは限りません。もし、運よく、学級経営を深く研究しておられ、その場で適切なアドバイスができる先生がいたとしても、毎日あなたの側で、手取り足取り教えてくれるわけではありません。毎日毎日時間をとってもらって相談することも、少し遠慮してしまうこともあるでしょう。
さらに、コロナ禍の今、オフラインでの研修に参加することも難しい状況です。ZOOMでの研修も、何か物足りない。そう感じている方も多いのではないでしょうか。
今の学校現場の状況、コロナ禍という社会の状況を踏まえても、いつでも本を書けるほどの実践を積み上げてきた著者の実践に触れられる。そして、自分が困った時にいつでも本を開けば答えが見つかる。本には、あなたが毎日の実践を積み重ねる上で、非常に便利な側面がたくさんあるのです。
学級経営だけ学んでいてもうまくはいかない
今の子どもたちは、5G、6Gという新たなテクノロジーが生まれ、予測不能と言われる激動の未来を生きていかなければなりません。
学びをやめた途端、時代の変化に取り残されてしまいます。だから教師自身も「本」というツールを用いて、新しいことを学び続ける必要があるのです。
65%。これは何の数字かわかりますか?これは少し前ですが、2013年のダボス会議で示されたある数字です。「今生まれた子が、現在存在しない仕事につく割合」です。8年たった今でも、現状は大きく変わっていないでしょう。AIが人間の仕事を奪う、と言われていますが、一方で、まだまだこれから新しい仕事は生まれ続けるでしょう。
子どもたちは、こんな予測不可能と言われている未来を、自らの足で生きていかなければならないのです。
ん?こんな社会情勢は、学級経営に直接関係ないじゃないか、と感じた方もおられるでしょう。しかし、ここまで読んでこられて、勘の良い方は気づいたかもしれません。学級経営を学ぶ上で、
「学級経営に関する本だけ読んでおけばいいというわけではない」
ということです。学級経営の本から、具体的な考え方、実践方法を学び、さらにはビジネス本、教養本からこれからの社会についても、まずは先生が本から学び続ける。すると、その中で「これからはこういう人材が社会では求められる。だから子どもたちとこんなことを話し合おう」「こんなことを考えさせてみよう」といった思考に繋がります。先生自身が、学び、考えたことを子どもにも伝え、話し合ってみる。目先の実践だけではなく、このような学びの共有という積み重ねが、結果として教師と子どもの対話を生み、理念の共有へと繋がります。
現状、学級経営に関する本は、クラスの中でのことに終始しているものが多いように感じます。もちろん、学級経営は教室の中で行うものなので、無理はありません。しかし、これからは、変化が求められる時代です。これまでの知見を生かしながら、あなたが思うように学級経営の在り方も変えていく。そんな姿勢が求められています。
つまり、学級経営は、未来のことを見据えながら、子どもたちと組み立ていく必要がある、ということです。
社会のことを学ぶならYouTubeなどのネット情報でも十分ではないか、という意見もあると思います。もちろん「本だけ」で学ぶことを推奨しているわけではありません。今やYouTubeなどで、有益な情報は大量に、しかも無料で触れることができます。ネットで触れた情報のうち、興味が沸いたテーマの本を読んで、さらに知見を深める。私はこんなイメージで学び続けています。
うまくいっていない時こそ「本」から学ぶべき
学級経営がうまくいっていない時こそ「本」から学ぶべきです。
なぜなら、しんどき時ほどどうしても表面的な事象に目が行きがちだからです。以前の記事でも述べましたが、大切なのはいつでもあなたの学級経営に対する考え方(マインド)なのです。
以前私は、初めて6年生を担任した際に、ある女子グループと関係がうまくいかず、食事も喉を通らないほど悩んだ時期がありました。その時は、「反発してきた時はどう対応しよう」とか、「どうやってその女子グループを指導していこうか」といった、目先の技術、方法ばかり追い求めていました。しかし、色々試すものの、一向に関係はよくなりません。そこで出会ったのが、赤坂真司先生の著書「スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意」でした。赤坂先生は、アドラー心理学に基づいた学級経営を実践されており、今では上越教育大学の教授として、学級経営を研究されています。
この本に出会い、アドラー心理学の「目的論」という考えに出会います。詳しくは、別記事でまとめますが、この目的論を元に、関係がうまくいっていない女子グループの子たちに向き合って見ました。「彼女たちは、何を目的として、反抗的な行動や、言動を繰り返すのだろう」、と。すると、反抗的な態度を繰り返すことで、私の注目を集め、「もっと私たちのことをちゃんと見て欲しい」、「話を聞いて欲しい」、「外見の注意ばかりするのではなく、内面を見て欲しい」。こんなことを訴えているのではないだろうか、と分析することができました。ここから私の、彼女たちへのアプローチは「指導」から「理解」へと変わりました。すると、少しずつ私と話すときの彼女たちの表情が和らいでいき、日常会話が普通にできるようにもなりました。気づけば3学期。まだまだ力不足だった私は、卒業までに良好と言える関係を築くことはできませんでした。しかし、少なくとも彼女たちへの否定的な見方はなくなり、より内面を理解しよう、とすることで、いいところもたくさん見つけられるようになりました。目の前の問題行動への対応に着目するのではなく、自分自身の子どもたちと関わる上での軸となる考え方。これを身につけることが非常に大切だと感じた1年となりました。
でも、どんな考え方をして子どもたちと関わったらいいかわからない。どんな考え方で学級経営をしていけばいいかわからない、という先生方も多いかと思います。そんな方は、ぜひ一度、以下の記事を読んでみてください。ここで書かれていることは、もちろん唯一絶対のものではありません。しかし、あなたの心強い味方になるものでもあると思います。これといった考え方の軸がまだない、という方はぜひ一度真似してみて、その上でアレンジを加えていけばいいのではないでしょうか。
学級経営を学ぶ上で筆者おすすめ本10選
ここからは、私が11年間の教師人生の中で読んできた本の中から、厳選した学級経営におけるおすすめ本10選を紹介します。
先述した通り、学級経営は、確かな考え方の軸が大切です。その軸をもった上で実践をしないと、1年間、一貫した学級経営をすることができず、なかなかうまく行きません。そこで、今回はまずあなたなりの考え方を構築する上で役に立つであろう本<マインド編>から5冊。
その上で、<実践編>を5冊紹介したいと思います。興味の持てた本から手にとってみてください。ただし、順序としては、まず<マインド編>の本から手をつけることを強くおすすめします!!
<マインド編5選>
良本が多く、選ぶのに苦労しましたが、みなさんが読みやすく、取り入れやすい本を中心に選びました!
①嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え (日本語) 岸見 一郎
「目的論」に加え、「課題の分離」という核となる考え方は、学級経営における私の心を劇的に軽くしてくれた1冊。「人間の悩みは全て、人間関係によるものである」という言葉も心に響く。人生のバイブルになる1冊です。
②道は開ける 新装版 (日本語) 単行本 デール カーネギー (著)
アドラー心理学に基づいて日常過ごしていても、やっぱり傷ついたり、落ち込んでしまうことはあります。そんな時に、あなたの欲しい答えが必ずここにあります。私はこの本のおかげで、最も辛い時期、倒れずにすみました(笑)
③スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意 (日本語) 単行本 赤坂 真二 (著)
先述した、私が赤坂真司先生と、アドラー心理学に出会うきっかけとなった1冊。アドラー心理学に基づいた、具体的な実践も書かれているので、マインド+実践で学べるお得な1冊です!
④マインドセット学級経営 (日本語) 単行本 ヘザー ハンドレー (著)
学級経営をアメリカの研究者の視点で捉えた1冊。4月から3月まで、具体的にどのようなマインドセットで学級経営に臨めば良いか書かれた、私の視野を広げてくれた1冊です。
⑤人を動かす 新装版 (日本語) 単行本 デール カーネギー (著)
①〜④で考え方の軸をしっかりと整え、まずは自分がしっかりと行動をしてみせる。そして、子どもたちに思いを伝え続ける。私がこれまで述べてきた「結果的に」子どもを動かすことに繋がる考え方を得た1冊です。
<実践編>
さあ、ここからは具体的な実践が書かれたおすすめの本を紹介します。たくさんの中から、選び抜いた5冊です。
①クラスづくりの極意―ぼくら、先生なしでも大丈夫だよ (日本語) 単行本 岩瀬 直樹 (著)
クラス目標の作り方や、掃除のシステムなど、子どもたちが「動きたくなる!」実践がたくさん紹介されています。この本から、多くの実践を取り入れて、1年間のルーティーンがたくさん生まれることになった1冊です!実際に私のクラスの子たちも「先生が出張でいなくても大丈夫だよ」と日常口にするようになりました。
②いま「クラス会議」がすごい! (日本語) 単行本 赤坂 真二 (著)
「自治力のあるクラスを創り上げたい」。こんな私の思いを実現するために、とても力になってくれた1冊!子どもたちが、自分のクラスの問題を自分たちで取り上げ、解決していきます。その姿にこれまで何度も感動してきました。
③小学校高学年女子の指導―困ったときの処方箋 (日本語) 単行本 赤坂 真二 (著)
私が2年目に最も苦しんだ、6年生の女の子グループとの関係作り。藁を掴む思いで手にとった1冊。高学年女子の間で、よくあるトラブルに対して、具体的な対処方法が書かれています。まさに「困った時の処方箋」でした。
④子どもと接するときに ほんとうに大切なこと (日本語) 単行本(ソフトカバー) 田中 博史 (著)
赤坂真司先生と並び、私のメンターの先生、田中博史先生の1冊。子どもと接する中で、具体的にどのように接すれば良いか、ということを、新しい視点で教えてくれる1冊です。
⑤子どもが発言したくなる! 対話の技術 (日本語) 単行本 田中 博史 (著)
最後の1冊は、少し授業実践の内容の本を選びました。田中先生は、算数授業のプロフェッショナル。私の授業に対する考え方をガラリと変えてくれました。中でも、子どもと対話をしながら進める授業法についてわかりやすく書かれている1冊です!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!何かご不明な点、学級経営に関する相談がありましたら、気軽にコメントください。いつでも全力で力になります!!
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